派手な音をたててかじった林檎は思ったより甘く、蜜が口の中一杯に広がった。
林檎を噛みしだく音が耳に響く。
「エネル様、あの、召し上がりにくくはないのですか?」
そう控えめな声音で尋ねたのはいつも果実の世話をさせている侍女ではない、いつも何処か些か要領の悪い所のある侍女であった。からかってやった時の反応が面白く、なかなか気に入っていた。
侍女長に用があるとかで社まで来たが、目当ての人がいない事を知り、礼をして立ち去ろうとした。その時彼が食べていた林檎がふと目に留まったらしい。
「ん〜〜?いや別に。…私は林檎は丸いままの方が好きだ」
噛み砕く感触を、舌の上の味を楽しみながら答える。
侍女はまた控えめに尋ねた。
「皮も、そのままの方が宜しいのですか、」
「んん。そうだな。林檎は赤くなくちゃあ食う気がしない」
音をたてて林檎の欠片達は咽喉を通って行った。
侍女は二、三度大きな目を瞬かせ、彼を見詰めた。続きを待っているのであろう。二口目の林檎をかじりながら続けてやる。
「別に皮を剥いたものでも構わんがね。そのままが私は好きだ。赤い林檎の方がいかにも旨そうじゃあないか」
口唇の周りに付着した蜜を拭った手が当然の様にべたついたので、ぺろりと舐めた。微かだが甘い。
また二口ほど林檎をかじり、暫く口の中の果実を味わった。
「…食物と言云うものは実に巧妙な姿をしているな。どれも生物の食思をそそる外観だ。全く全てのものはうまくできているな」
「ですが、あの、僭越な事を申し上げる様ですが、わたくしあの悪魔の実はあまりおいしそうには見えません」
「…ヤハハハハハ!なるほど確かにな、全くその通りだ。私もアレを食す時はその外観に些か気が進まなかった。フフ、実際アレは不味い」
幾らかして林檎は上下の僅かしか赤を残さないほど細い形になった。
「しかし林檎が赤くなかったら今ほど旨そうじゃあなかっただろうなあ」云いながら残りを口に入れる。
「苺や桜桃なんかもそうだがあれらの果実は今みたいに赤い方が旨そうだ。そうだな、お前の唇なんかも今くらい薄ら赤い方が丁度良い」
からかうつもりでそう云ってやると、思った通り侍女は顔を赤らめて唇を両の手で覆った。
その様が面白くて彼は笑った。
「まあ別に赤くなくても全然良いのだけどな、ヤハハ」
「…エ、エネル様ぁ〜…!」
益々顔を赤くする侍女が面白くて仕方が無い。ああこれだからやめられない、色々と。
くつくつと笑いながら彼は云った。
「限りない大地にも林檎があると良いのだがな」









信じられる訳が無かった。目の前のこいつは一体何なのだ?
裁きの光が厭うものなど今まで存在せず、また存在するはずも無いと思っていた。
では、一体、目の前のこいつは何なのであろう。
カイゾクだとか云う聞き覚えの無い言葉を口にしていたが、そんな事は最早どうでもよい。
是まで彼にとって他者とは、自分に触れる事すら叶わない存在であった。何故なら彼は神であるのだから。
だから、信じられる訳が無かった。
是から自分はあの大地へと行くのだ。故郷へと還らねばならないのだ。青海の盗賊如きに、邪魔をされてなるものか・・・
身体がまるで見えぬ錘でもつけられたかの様に重くなり、目前の拳を避ける事は不可能だと、思考よりも先に身体が悟っていた。
感じた拳の重さは呼吸が止まる程で、視界が白むのを感じた。
理解し難い衝撃に、一瞬彼の思考は止まった。
目の前の世界が変わったようであった。今、自分に何が起きたと云うのであろう。
殆ど痛みと云うものを忘れていた彼に、現在の彼が感じている其れを理解するのは困難な事であった。
口から滴り落ちたものが霞んだ目に映る。
初めてと云って良い程久方ぶりに見た自分の血の色は、林檎の様であった。






*えり*
…何だろう…コレ…(呆然)
天才的な駄作ですいません…
何が書きたかったのかと云われれば最後の1行が書きたかったのです。
ていうかこれ神侍女にするつもり無かったんですが何かそんな感じに…
ゴッドがセクハラまがいの発言連発しててすいません。
あとくだらなすぎてすいません。

03.9.10



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