鳩のように飛べたなら、
わたしは遥か遠くまで飛んでゆき、
荒れ果てたかの地に巣をかけて、
永久の安らぎを得るでしょう。
わたくし達には神さまがおられます。
神さまはいと高きところにおられるもの、けれど、ああ、神さまは本当は何て近きところにおられたのでしょう、
けれど、けれど、やはりこんなに近くにいらっしゃっても神さまは、
遠いお方。
時々、思うのです。
神さまが あんまりにも遠いところにいらっしゃるものですから、
時々、
お寂しくはないのだろうかと 思うのです。
だって、神さまは あんなにも遠いところにいらっしゃるのです。
ひ と り ぼ っ ち で 。
ぬくもりを必要とされることは、あ ら れ な い の で しょ う か ?
だって、みんな、 幼い頃は いえわたくしは今ですらも お母さまのぬくもりが愛しいのです。
ひとりぼっちが あたたかいだなんて、 そんなことは決して、 決して ないでしょう。
或る時、神さまにお尋ねしました。
お 寂 し く は な い の で す か 、 と。
すると神さまは いつもと同じ いえ寧ろ 何故、とでも言いたげな 不思議そうな笑顔で言われました。
い い や 全 然 。
そうして また 不思議そうなお顔で こう言われました。
何 故 泣 く の だ ?
わたくしは 何故泣いていたのでしょうか。
神さまのその問いには答えられず、
ただ 気付くと 涙が後から後から止まることなく、 わたくしの目から溢れていたのです。
わたくし達には神さまがおられます。
わたくし達が生まれたところでは、神さまには還られる場所があられるのだと教えられました。
ひ ろ い 大 地 。
果 て し な い 大 地 。
わたくし達の神さまは、そこへと還られるのだそうです。
神 さ ま 。
わたくしがもし鳩のように飛べたなら、
あなた様について行きたいと思います。
け れ ど 神 さ ま
わたくしにはわからないのです。
遠き神さまのお考えなど わたくしにはわかるはずもないのでしょうけれど
けれど あなた様が何故そこへ還ろうとなさるのか
わたくしにはわからないのです。
荒れ果てた地でも ぬくもりも 安らぎも得ることができるでしょう。
け れ ど 神 さ ま
妖精の待つ地では 何が得られるのですか?
たとえばそこが神のあるべき地だとしても
たとえばそこに選ばれたもの達をお連れになられるのだとしても
結 局 、 神 さ ま は ひ と り ぼ っ ち 。
どうしてあなた様は おひとりになられようとするのですか?
神さまのひかりが輝いて わたくし達には もう 何も見えなくなってしまいました。
最後に見た神さまはやっぱり笑っておられて、
やっぱり遠いところにいらっしゃいました。
神さまは、これから約束の地へと還られるのでしょう。
これからも生きて行かれるのでしょう。
ひ と り ぼ っ ち で 。