空の青さに涙が出た。




寝転がった姿勢のまま、首を傾げた。頬がぬれている。これは眼球の上外側の涙腺から分泌される液体、つまり涙だろうか。
そう認識してまた首を傾げる。確かに睡眠から目覚めた直後だがあくびをしたわけではない。 目を開けた時に受けた太陽の光の刺激で出たのだろうか。指で軽くぬぐって今度は本当にあくびをした。 ここは小高い丘のようになっている場所で風当たりも良いし、太陽の光もちょうどいい具合に当たって昼寝をするにはよい場所だ。身体にあたる雲の感触も眠りを誘う。 ひとり静かなところで考え事をしたかったのだがここに来て寝転ぶと、ついつい眠り込んでしまった。 鬱陶しい他人もいないのでぐっすり寝れた。”家”は”声”がうるさい(”声”についてはどこにいても同じことだったが)。 心を読めはしないが眼を見れば大体感じとれるし、自分がいない所でひそひそと話をして、聞こえないとでも思っているのか。興味は無いので構いはしないが。それに、いつでも消せる者達のことなど気にする必要もない。
枕にしていた両の腕を伸ばし、大の字になった。あーー…と声を出してみた。その声は空に吸いこまれて消えた…というのは詩的な表現で、単に声を出すのを止めただけで。 小さな鳥達が上空を飛びまわっていた。この間侍女はその光景を見て楽しそうですね、と言っていたが、自分にはそうは見えなかった、今も見えない。鳥の顔は無機的に見える。フザはもう少し表情豊かだとは思うが…。 それよりも、鳥を見て思うことは、疑問。何故この国の、いや、空に生きる全ての人々は自分たちの生きる場所に疑問を抱かないのか?
空とは父で、大地は母だ。神話にもそうあるじゃあないか、なあ?そして母というものは『生む』存在だ、つまり生き物は全て大地で生まれなければいけない。 何故気付かない…愚かというよりも、哀れだと思った。 ああ、哀しいな。おや、誰かの口癖がうつってしまったかな?そう思って、笑った。そういえばオームはみんな死なせてあげたいと言っていた……以前ひとつだけ願い事が叶うとしたら何がいいと4人に聞いた時、確かそう言っていたと思う。 なかなか良い思想の持ち主だと言える。もう少ししたら、彼の願いを少しだけ叶えてやることができる。彼らは幸運だ、普通ならば見ることもできない、足場を奪われた人間の顔を見ることができる。 天国も地獄もこの世にある、まずは地獄、選ばれなかった者達。間違いに気付かず…気付けず、浅はかなる考えの持ち主達は神の国には必要無い。
こんな国には、何も思いは無い・・・・・・
この国の伝承だって、言っているのに。限りない大地に神が在るのなら、人も大地に生まれるべきだ。神の在る所に人も生きる。神の手を離れた人は、家の無いまよい子と同じだと。 だから、神である自分は尚更、こんな所にいるべきではない。自分の命はこの国で生まれたが、魂はそこで生まれたのだ。限りない大地こそ自分の本当の故郷なのだろう。 早く還らなければいけない…。
右手を天にかざし、鳥を見つめた。鳥をさした指から僅かに火花が出た。暫く指で鳥を追っていたが、やがて元のように下ろした。 風が気持ち良い。そうして数分前と同じように、ゆっくりと目を閉じた。




誰よりも大地に憧れていたのは自分だった。






☆なじ☆
空島に神話なんてあるかなーと思ったんですけど、創世神話なんて必ずといっていい程どこにでもあるしマーいいか〜と☆
壁紙はWeb用壁紙素材様ヨリv


03.6.18


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